2019年3月17日 中国問題
〇 中国問題
世界の投資先として、中国が最悪と言いましたが、最終的に中国人民元の切り下げになる可能性が高いからです。米国との違いは基軸通貨であるかそうでないかですが、非常に厳しいと思っていて、かなり早い時期に表面化すると思っています。
・中国の、大きすぎる負債の問題
中国のGDP 2018年は、名目13.5兆ドル(1485兆円)政府発表 18年10月-12月 第4Q 物価上昇2.2%を引いて6.4% ですが、民間(大学)の調査では 2018年実質GDP 1.67% マイナス成長の試算が出ています。
・2018年秋から中国経済の減速の状況
自動車の 年間販売台数 2800万台(2018年)は、 米国1670万台の1.7倍、日本527万台の5.3倍です。
ところが、2019年1月 前年同月比 -15.7%でリーマン危機以上の落ち込みになっています。
スマホにおいても、 2018年の販売台数 3億9600万台 でしたが、(18年10月~12月)前年比-14%、アップル -20%になっています。
・貿易状況
19年2月の中国からの輸出は、1325億ドル(15兆円)で-20%、輸入も-5.2% 1311憶ドル(14兆円)、対米輸出 -14%、輸入 -35%(19年1月~2月)が現状です。
輸出と内需需要を示す中国の輸入は6か月連続で前年を下回っている。
・日本への影響
日本の対中輸出は、18年11月から前年比0%、12月-7%、1月-17.4%と月を追う毎に悪化しています。
工作機械の受注 2019年2月-29.3%、中国経済の減速が、日本の内需も減らすという想定から受注減になっています。
インバウンド消費も 大手百貨店5社の19年1月の店舗売上は前年比マイナス、18年6月まで前年比40%増えていた免税の売り上げが、数%の減少になりました。
中国人観光客の1人当たり買い物額が大きく減ったということです。
・中国国内の現状
旧正月の春慶節は、中国の小売りが最も多い時期 実店舗の売上は、大手100社で-1.3%でこれは日本同様でした。
ネット販売を含んだ小売・飲食店売上は +8.5%の増加だが、統計開始の2005年以来15年ぶりの一桁に落ち込みました。
2008年9月からのリーマンショック級の経済ショックが、中国を襲っていると判断できます。
・3/5「全人代」開催
中国の国会にあたる「全人代」で決定したこと
①付加価値税である増値税の引下げ(16%→13%)
② 雇用の80%の中小企業向けの減税
③年金などの社会保障費の企業負担の引下げ
減税の総額は2兆元(33兆円)ということです。
・対策規模
リーマン危機のあとの4兆元(66兆円)には及びません。金融の緩和対策を入れればそれに匹敵する。それは、特別地方債の発行限度も、年2.15兆元(36兆円)に増やしているから。
家電の販売に対して8%→25%の補助金を支給(19年1月~3年間)
・一般的な評価
中国のGDPは、1月~3月まで減速するが、4月~6月からは、政府の不況対策により、減速に歯止めが掛かるとみられている。
問題は、中国のGDPの、公的な成長基準と思われる6.5%です。これが信憑性があるか。秋の実態が0%~マイナスならどうか。何%成長が減速であり、何%だったら成長か、ここがまったく判らない。勝手に判断するしかないところが問題
今回の対策は、いづれも財政赤字を増やし、政府負債を増やすもの
・BISの負債データによる考察
中国のGDPは、リーマン危機以降の10年で2.6倍になっている
年平均10%の成長で、一方負債は6.0倍
負債の10年間の年平均増加率は、20%
GDPが10%平均で伸びるなか、負債は2倍の20%で増えている。
・何故か
正常値は、GDPの増加と同じ率の負債の増加で異常な事が続いている。
原因は、リーマン危機の後の、対米・対欧輸出の急減からGDPの急落を借入金による設備投資・商業用不動産投資・住宅建設で補ってきたと言う事だと思います。
異常は、企業負債の2425兆円 GDPの183%に当たります。
平均金利6%(2018年)で年間の利払い額は145兆円(GDPの11%)と言う巨額数字です。
日本の国家予算の1.5倍 借りた企業が逆立ちしても払うことができない状況です。
金利が3か月以上払われず、返済もされない借入金は不良債権となります。
表向きは、銀行の不良債権17兆円、貸付金に対する比率は日本並み1.7%
統計も疑わしい、いつも4%台を続ける失業率は都市戸籍の人だけのもの
日本の研究機関の推計でも、不良債権は10倍の17%と控えめに見てもある
実際には、40%(2420兆円×40%=1000兆円)がすでに不良債権とみれる
他にもBIS統計に表れていない、シャドーバンク(高金利商品)の残高900兆円があります。これも不良債権になる。
一例、住宅建設 中国は1年間に、日本の10倍、米国の6倍の1000万件の新築があります。中国の新築は、建設会社、住宅会社が外見を作り、内装は買った人が行います。
18年11月ブルームバーグによると、中国の空き家は、新築の5年分の5000万件あると報道されビックリしたものです。異常
作っても売れない住宅分は、企業の負債のままで、発表される上がり続ける住宅価格の統計は、新築の売り出し価格です。売れた価格でない
2018年の企業負債2425兆円の内、750~1000兆円分がこれ
企業の負債の増え方が、1年に約200兆円なのは、作った住宅に売れ残りがあるため、利払い分の、銀行帳簿内の追い貸しになっています。中国4大銀行の資産規模だけが増える、これってバブル崩壊時の日本の大手銀行と一緒じゃないですか。
結論として中国はすでに、金融危機になっています。しかし、金融危機は、銀行の帳簿上の追い貸しで、「無いもの」とされています。
政府は、今回も金融緩和をして、GDPを減らさないために、貸付金を膨らませ続けます。ですが、債務問題を解決するには、時間も必要ですが、世界の経済をけん引してきた実力はもうない。失われた〇〇年になりそうだし、債務返済の手法として元の切り下げぐらいしか考えられない。中国への投資リスクを考えてみました。
堅い話で申し訳ありませんでした。
最後まで読んで下さりありがとうございました。